ハラランボス氏からのメッセージ
人生からのメッセージの読み取り方
by Haralambos
神聖なる計画の中に法則、原理、イディア、コンセプトがあり、私たちの物質世界に現象、状況、結果として投影しています。それらは私たち人間が日常生活の中でそれを認識して、自己を成長させていく為にあります。
そして、ある日、私たちは完全なる自己充足、完全なる自己意識、完全なる超自己意識をもった不滅の存在として、私たちが最初に存在していた 絶対無限の存在と一体 （テオシス） になります。
私たちは日常生活の中でしばしば、打ちのめされ、限界を感じるような過酷な状況に遭遇します。何故、そのようなことが自分の身にふりかかったの分からず、泣いたり、助けを求めたりします。
そして、混乱と深い苦悶の中で、藁をもすがる思いで出口を探そうとしますが、出口はどこにもありません。
すると、その時やっとこの偉大な疑問に行き当たるのです。
「こんなに苦しんだり、辛い目にあって何になるのだろう？ 一体、神様はこれらのこと全てを見ているのだろうか？ 神様はそんなに無慈悲なのだろうか？ 私たちは天なる父のもとで何の問題もなく幸せだったのに、何故こんな辛い経験をするために、ここに来なくてはいけなかったのだろうか？」
しかし、この時こそ、私たちが真に進歩する瞬間なのです。私たちが混乱している時こそ、いつもの決まりきった行動や、考えから抜け出し、何か新しいことに気づくチャンスなのです。たとえそれがどんなに矛盾しているように聞こえても。
この様な暗い状況の中では、私たちはあたかも大きな絵の上で、迷子になった小さな虫の様です。本当はこの絵は偉大なアーティストによって描かれた素晴らしい絵なのですが。
ある時、この虫が暗い色の部分にさしかかったとき、「何と暗くていやな所だろう。こんな所からは一刻も早く抜け出したい。」と言って、逃げ出そうとします。
しかし、もしこの虫が、もっと離れた所からこの絵を眺めることが出来たら、「何と素晴らしい絵なのだろう！」と、きっと感嘆の声を上げることでしょう。
そして、「さっきいた所は今見るとそんなに悪い所ではなかった。こうやって絵全体を見ると、どんなに必要なものなのか良く分かる。この暗い部分がなければ、単調なつまらない絵にすぎない。」と、言うでしょう。
暗闇や影は光と同じぐらい重要なものです。
影によって光が現れ、光がどんなものかを示してくれます。影のない絵はありません。 私たちは、それらを嫌ったり、避けようとしますが、本当に貴重なものなのです。私たちに色々なことを教えてくれます。
暗闇や影は神聖なる計画の一部であり、同時に神聖なる計画を構成していて、それがなくては創造も未完成なのです。
もし、一人の人間が光しか存在しない部屋で生まれ、暗闇というものを見たことがなければ、誰かに 「光とは何ですか?」 と尋ねられても、何と答えていいか分かりません。
しかしもし誰かが彼を外に連れ出し、暗い夜の空を見せたら、その時、彼は答えることが出来るでしょう。光は暗闇を見て、初めて光の何たるかを知ることが出来ます。
私たちは光です。そして自分たちが何なのか知るために、この分離の世界の中に、傷つきやすい、滅びる自己の影 （現在のパーソナリティー） を振り当て、暗闇を経験しているのです。
何故なら、もし滅びることがなければ、どのようにしてこのちっぽけな自分の影はいつかなくなる暗闇 （人生） を理解し、経験することが出来るでしょうか？ もし、私たちが不滅であるなら、どのようにして私たちはこの惑星で何かを経験することが出来るでしょうか?
このことが聖書で次のように書かれています。「この朽ちるべきものが朽ちないものを着、この死ぬべきものが死なないものを必ず着ることになります。」 （コリント−１、15−54）
この地球で私たちは影の意味を学び、自分たちは誰なのか、何なのかをもっとよく知るために生きています。
「しかし、もし私たちが神であり、神ご自身の投影したものであるなら、そして神は全て意図されたことを知っている全なる知恵ならば、何故、私たちは最初から自分たちは何なのか、暗闇とは何なのか知らないのだろうか? そしてこのようにたくさんの辛い経験をしなくてはいけないのだろう。」と、言う人もいます。
確かに、私たちは理論ではこれらのコンセプトを知っているのですが、個人的にそれらを経験したことも、味わったこともなく、それらと一体になったこともないのです。
光と再び一体になるためには、その前に暗闇と一体になる必要があります。滅びていく自分、現在のパーソナリティーをつくって、その結果、最も暗い面であるエゴイズムをつくります。
エゴイズムなくして、私たちはこの地球で起こる全ての不運、災難、病気、苦痛などの原因を学ぶことは出来ません。しかし、一度エゴイズムを無くすと二度と、痛みを感じることはありません。
多分、誰かが苦しんだり、痛んだりしている時、その人に対して哀しみを感じることはあるでしょう。エゴイズムは私たちの魂から私たちを引き離しています。私たちのスピリチュアルな進歩にとって最初のステップも最後のステップも、このエゴイズムを殺すことなのです。そしてそれは内省と正しい考えでマインドを使うことによって出来ます。
永遠に終わることのない光と暗闇の奮闘の物語は、どんな絵の中にも見られる様に、この二つを切り離すことは出来ません。
実際に暗闇はすなわち光であり、祝福されたものであると悟ったとき、私たちは背後にある創造主の深い知恵に感嘆するでしょう。そのことを理解できない限り、私たちは神聖なる計画の全体図を決して見ることが出来ません。
日常生活で経験する全てをエッセンスとして抽出すると、どうなるでしょうか？ コンセプト以外に私たちが学ぶべきものがあるのでしょうか？
暗闇と光が一つの中にある二面性であるように、一つのコンセプトには必ず、コインの表裏を持っています。暴力から始まり、愛に至るコンセプト。プライドから屈辱に耐えたり、謙虚になること、偽りから正直になることを学ぶコンセプト。
最初、私たちは各々のコンセプトが何を表しているのか学び、次にそれをどのように使うかという能力を得ます。私たちはこれらのコンセプトを苦難の末に学び、もう一つの面を切望しながら、やっとそれを再発見します。
そしてそれらを一つのものにしてマスターするのです。誕生―死―再生、大変長く苦難を伴う旅です。どのようにして、マインドを正しく使うか認識できるようになるまでに非常に長い時間がかかります。そしてそれは個人の努力によってのみ達成することが出来ます。 どんな師もグルも私たちをそこに運んでくれないのです。
人生という注意深く計算されたレッスンだけが私たちをそこに運んでくれます。
この地球における人生の本質とは、「神聖なる計画を構成している神聖なるコンセプトを学び、理解し、それらと一つになること」ということが明確になったと思います。
そしてこれは二つの方法でしか成し得ません。「運命による鞭」と「正しく考えること」です。 運命やカルマの鞭も最終的には私たちのマインドを正しい方向に導いてくれます。
私たちの人生で最も貴重なことはどのようにして正しい方法で私たちのマインドを使うかということに尽きます。
正しくマインドを使うと、多くの苦難や痛みを避けることが出来ます。そして日常生活で一度このレッスン−コンセプトを学んでしまうと、即その問題はなくなり、二度と同じ問題を繰り返す必要がないということに気がつくでしょう。
もし同じ問題が何回も続く場合、それは、人生がこの問題を通して、私たちに送って来るメッセージを私たちはまだ読み取っていない、というサインです。
それを理解するには、「人生の知恵」を信頼し、私たちに起こる事で偶然なことは何一つないということを知らなくてはいけません。そのことをキリストは「木の葉一枚も私の父の許可なしで地に落ちることはない。」と、言っています。
全ての神聖なるコンセプトと原理は偉大というより他に表現しようがありません。私たちはそれらの意味をみつけることにより、私たちは本当は誰なのか、そして私たちではないもの、又、神聖なる計画の中で私たちの役割は何なのかを発見し、どのようにしたら、それらと一体になれるかということがわかります。
知恵の伴わない愛は何になるでしょうか？ 愛と知恵があっても力がなければ、何の役に立つでしょうか？ 愛、力、知恵の黄金の三角形は私たちがここで進歩していくために、一人一人の中で調和されています。 どんなコンセプトもそれ自身の為だけで、存在することは出来ません。
「愛」 の中に 「謙虚さ」 がなければ、「謙虚さ」 の中に 「誠実さ」 がなければ、「誠実さ」 の中に 「正直さ」 がなければ何になるでしょうか？ 祈りと瞑想は単に自分だけのもので私たちをどこにも連れて行ってくれません。
「内省」 の伴わない 「瞑想」、「謙虚さ」 のない 「祈り」、「誠実さ」 のない 「謙虚」は何になるでしょうか？ 力があっても愛と謙虚がなければは何の役にもたちません。もし自分の人生やあらゆるものに対して不満、不平を持って、祈っても何の役にも立ちません。
コンセプトというものは神聖なる計画の中でお互いに噛合って、鎖を作っていく、歯車の様なものです。同時にこの歯車は私たちを完全なる道に導くために、私たちの中でも動いています。
時々、その歯車が止まってしまい、計画したことや目標が歪曲し、大変、辛い目に会うことがあります。そのような時、私たちはその責任を友人、家族や家系、星、あるいは社会のせいにしがちです。そして 「これは私の悪いカルマのせいだ。」 と、言ったりします。
私たちは自分以外のあらゆるものを非難しますが、そのような責任転嫁は出来ないのです。何故なら私たちは、この人生で遭遇するどんな障害をも乗り越える事が出来るように充分なマインドを与えられているからです。
まず、どのようにカルマが働くのか理解することが必要です。私たちは毎秒毎秒、考えたり、行動したりすることによって、カルマをつくっています。
ですから毎日の生活の中であらゆる瞬間に私たちは自分の運命を修復する可能性と能力を持っていると言えます。そして自分の人生のシナリオ・ライター、監督、俳優として自分の全人生を管理することも可能なのです。
これはほんの数分の正しい考え方をすることによって出来ることです。そして多くの苦痛や困難、又、多くの人生を省いてくれます。このようにして私たちのカルマはだんだん軽くなっていきます。
又、地上での生活は次のように表すことが出来るかも知れません。例えば明かりのない迷路で、原始人が出口がどこにあるか分からず、あっちこっち歩き回っています。手探りで動いているので、あっちこっち壁にぶつかったり、転んで痛い思いをしています。
しかし、もし彼が自分の背後を見ることが出来たら、そこに美しい天使がいることに気づくでしょう。細心の注意と愛情をもって、後ろから棒で彼を軽く叩いてくれる人生の大天使です。ちゃんと出口を見つけられるように、一歩一歩、注意を払って、導いてくれます。
時々、叩かれても省みず、自分勝手にもっと深い迷路に行こうとする時、大天使はもっと強く彼を叩くでしょう。しかし、ある日、彼は叩かれている意味を理解し、その忠告に従うようになるかもしれません。そして、ある日、もう叩かれる必要が全くないほど分かって、迷いから覚めるかもしれません。
今まで使った事のない、自分のヘッド・ライトをつかって、もう痛みの助けなしで、この出口を見つけることが出来るようになります。この人生の迷路から逃げる出口は一つしかありません。それは真理の道です。
自分の今いる位置とこの出口の距離がカルマの大きさとなります。（まだ終えていないレッスン） そして私たちの現在のパーソナリティーと永遠のパーソナリティーとの距離でもあります。
"エソテリック・ティーチング" は神聖なる計画の全体図を私たちが見ることが出来るように手助けしてくれます。そして、私たちが自分のヘッド・ライトであるマインドを使って、迷路から出られるように導いてくれます。
人生は最も偉大な師です。どんな師や、グル、母親でさえも人生という師ほど私たちを愛してはくれません。私たちと共に歩み、絶えず、棒を持って、私たちが出口を見つけられるように次のレッスンを用意してくれます。
私たちに苦痛を与えるものは何であれ、人生という偉大な師が与えてくれた勉強です。
私たちに送られてくるこれらの人生からの鞭をどのように解読したらよいのでしょうか? まず、自問することから始まります。
例えば 「何故、私はこの人の面倒を看なくてはいけないのだろう?」 「こんなに自己中心的でわがままな人に私はもう我慢できない。」
すると、次のような問いが出てくるかもしれません。「私はこの状況をどうしてこんなに嫌なのだろうか?」「何故、このことがそんなに耐えられないのだろうか?」
すると更なる答えが出てきます。「私はこの人を愛することができない。何故だろう？」
さらに自問すると、「私は彼 （あるいは彼女） の外見や、エゴイズムの嫌なところだけしか見えないからだ。」
「どうしたら愛することが出来るのだろう？」、「もし、この人自身である大天使の姿を彼の中に見ることが出来たら、この様な状況を与えられたことを、喜んで受け取り、本当に名誉なことだと思えるかもしれない。」「私が愛と謙虚の勉強をする為に、こういう状況を人生が作ってくれたのだ。」 これがレッスンなのです。
このように自問していくことが、正しい内省のやり方と人生から送られるメッセージの読み取る方法です。この様にして、私たちは出口に一歩、近づいたことになります。そしてやがてこの問題は消えていくでしょう。
町の中を安全に正確に運転するには運転免許証と地図とヘッド・ライトが必要な様に、私たちも神聖なる計画とその意思に抵抗せず、それを信頼して毎日の生活で正しく思考を使えるように学ぶことが必要です。
毎日、私たちの身の回りで起きている出来事の意味を良く理解することは、私たちの責任であり、同時に、自分の運命を自らコントロールすることが、出来るのです。自分の運命を自らコントロールできることは素晴らしいことです。
2004年4月 アテネにて
